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---お金の話
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*目次 [#nc7ec099]
#contents

*基礎 [#b31b1ed2]
基礎の基礎
-学校で教えられる事の無い、お金はどこから来たのか?の話。
-基本的な因果関係が解ってないと分析できないでしょ?

**不換紙幣への歴史 [#z261ee38]

***物品貨幣 [#i7287086]
貝貨などが有名
-不便な物々交換の解決。
-貝、布、家畜、石など。

***金属貨幣 [#id7c54c1]
-貨幣(金・銀・銅)

-貨幣量を増やす改鋳(貨幣改鋳
--財政の補填や、災害復興費・戦費の捻出で行われた。
--貨幣量の増加はインフレーションとそれに伴う物価の上昇を起こした。

***紙幣の歴史 [#i6640cac]
-[[金属貨幣>#id7c54c1]]の預り証に決済機能を持たせたもの。
--世界初の紙幣:宋代に鉄銭の預り証として発行された交子がある。
--日本初の紙幣:1610年の伊勢国 伊勢山田で発行され丁銀と兌換性を持つ山田羽書
--現金通貨の原型は、1600年のイギリスで誕生した、ゴールドスミス・ノート。

-預金者の[[金属貨幣>#id7c54c1]]を利用した紙幣に依る貸金業の始り
--銀行家の誕生
--預金者の預金に低い金利、
--借り手の借金に高い利子

-預金(きん)量を超えた貸付

--預金量(準備金)と貸付(ローン)の制限を緩和
---少ない預金量で多くの貸付を行う。
---取り付け騒ぎが起きて銀行家は殺された。

--産業拡大に合わせ、この緩和が合法化される(預金準備率)。
---1694年イングランド銀行の預金準備率は「準備金:ローン=1:2」
---ちなみに、イングランド銀行世界で二番目に古い銀行で、
---ゴールドスミス・ノートを模倣し銀行券を発行。

-借金によるマネーシステムへ

--準備金制度の概要
---準備金を中央銀行に預けると預金準備率に従い、新しいローンを作成できる(紙幣の発行)。
---ローンで発行した紙幣が第三者によって預金されたら、別の新しいローンを作成できる。
---上記を繰り返して、上限額まで、別の新しいローンを作成できる。

--預金準備率が1:9の場合、
---準備金が1,111.2あれば10,000のローンを作成できる。
---預金準備率が1:9なのでローン返済額の90%の金額の別の新しいローンを作成できる。
---9,000→8,100→7,290→6,561→5,905→5,314→4,782...と決められた上限までローンを作成できる。
---ある準備金で作成できるローンが最終的に収束するように設計されている~
(逆に110%なら発散して無制限にローンを作成できてしまうでしょ?)。

--預金準備率は、1:9、1:20、1:30...と、変更(緩和)され続けている。

-更に、兌換紙幣から不換紙幣へ
--産業拡大で金本位制から変動相場制へ(サービス>金の総量)。
--金の総量に比例した価値ベースのお金から負債ベースのお金へ。

-通貨発行権の話

--歴史且つ現在の中核はシティ・オブ・ロンドン、バチカン、スイス、シティ・オブ・ワシントンと言われている。
---シティとはローマの都市国家の意味(起源はロンディニウム)。
---シティ・オブ・ロンドン(金融の中心地とされる)
---バチカン、スイス、(金庫番の中心地とされる)
---シティ・オブ・ワシントン(軍事的な中心地とされる)

--1844年:ピール銀行法:イングランド銀行が中央銀行として銀行券の発券を独占
--1913年:FRB設立:私立銀行群である連邦準備銀行 (FRB) が中央銀行として銀行券の発券を独占
--1930年:BIS設立:WWI後の賠償金問題(ヤング案)に対応するためスイス・バーゼルに設立、現在は「中央銀行の中央銀行」として、国際金融政策の調整や金融安定の促進を担う。
--歴史的経緯
---1844年:ピール銀行法:イングランド銀行が中央銀行として銀行券の発券を独占
---1913年:FRB設立:私立銀行群である連邦準備銀行 (FRB) が中央銀行として銀行券の発券を独占
---1930年:BIS設立:WWI後の賠償金問題(ヤング案)に対応するためスイス・バーゼルに設立、現在は「中央銀行の中央銀行」として、国際金融政策の調整や金融安定の促進を担う。

***信用の土台の変遷 [#ef0d515f]
-金地金(金本位)
--[[紙幣の歴史>#i6640cac]]のゴールドスミス・ノートを参照。
--ブレトンウッズ体制、金・ドル本位制(ドルを間に挟んだ疑似的な金本位制)
---世界恐慌、ブロック経済が大戦の一因となった反省
---第二次世界大戦で疲弊・混乱した世界経済の安定化

-石油(ペトロダラー体制)~
ニクソン・ショック、変動相場制

--英国から金地金を返せと言われたのを踏み倒して信用を石油にシフト
---ドルの金交換に応じられないほど米国の金保有量が減ったため。
---サウジに石油を$で買うから$で米国債を買い支えろ。と言って成立。

--原油輸出をドル建てで行う「ペトロダラー」体制によって、ドルの信用を維持した。
--この信用の詳細は[[コチラ>#zfb1b908]]で説明している(ちなみに2018年まで機密だった)。
--以降、為替レートを外国為替市場の需給に合わせて自由に決める変動相場制へ移行
--https://www.iima.or.jp/abc/a/3.html(大嘘、人民元決済になって大騒ぎ

-資源本位と通貨バスケット
--[[ヴェルナー理論>#u8fd27be]]の金融経済と実体経済のうちの金融経済が問題しか起こさなくなった世界。
--前述のペトロダラー、[[ドル還流型の金融システム>#gc594d18]]が崩壊しBRICs(資源国、新興5カ国)の通貨バスケットを創設
--貿易でのみ使える実需原則で投棄に使えない中央銀行デジタル通貨(CBDC)を検討
--物質的充足と科学技術発展で金融でのベネフィット創出が困難になってきたのが背景。
--資源国に主導権が移るが、その後の資源安への対応が資源国自身の課題ではある。
--世界的に以下の様なシフトが要求されている。
---[[新自由主義(ハイエク、フリードマン>#iab6104a]]から
---[[イノベーション(シュンペーター>#t7ecc783]]への

***近年の中央銀行 [#oe709490]
前項の「[[信用の土台の変遷>#ef0d515f]]」の「ブレトンウッズ体制」「ペトロダラー体制」「資源本位と通貨バスケット」の間

-国際商人が[[貿易(に使用する紙幣>#x8627f07]]を受取)可能にするためにはその国に中央銀行を入れるしか無い。~
(国際商人が貿易に使用する紙幣を受け取るには、当該国家の紙幣を発行する中央銀行が通貨システムを管理していることが重要)

-連邦準備銀行 (FRB) の広がりが[[ドル覇権>#i6640cac]]へと繫がった。

--中央銀行の[[借金によるマネーシステム>#i6640cac]]
---負債が国民に貸し出す必要のある紙幣
---資産が担保(準備金≒信用の土台)になる国債。

--イメージ~
国債を元手に金を刷って貸して利子を戻す。
---国債の金利は直接的、ないしは、関節的に資本家に行く。
---つまり、紙幣の発行には資本家への手数料が発生するのが現状。

--ポイント~
日米の違い
---内債・外債
---日銀・私立銀行群

-コレが、紆余曲折で、近年「[[ドル還流型の金融システム>#gc594d18]]」に昇華した。
--ココから独立しようとすると鉄砲玉やミサイルが飛んでくる。
--リーマン・ショック後、「効果的で持続的な金融緩和」が一般化。

-ごく最近、米国は国債の利上げを始めた...金融引締オペレーション

--一次的効果
---国債価格は下がる。
---ローン金利の上昇(住宅固定ローンなどは国債金利と連動)
---紙幣の発行が止まる。

--二次的効果
---資本コスト増加で外部調達の利点が減る。
---そのため外部調達から自己調達、輸入から国内生産に切り替わる。
---過度な需要が減り価格の高騰が治まる事でインフレが止まる。

***電子マネー [#t39686dc]

**為替の仕組み [#x8627f07]
[[$¥>#i6640cac]]の為替

***根本的には [#ed0069f7]
-[[近年の中央銀行>#oe709490]]で説明したように、国際商人が[[貿易(に使用する紙幣>#x8627f07]]を受取)可能にするためにはその国に中央銀行を入れるしか無い。
-中央銀行の通貨システム管理とは、単純に言えば、当該国家の輸出力に対応して、国内貨幣の国際的価値を変動させるとともに受給に合わせて通貨発行を行うことになる。
-為替高になると言う事は、国際貿易において、輸出力がある国の信用が、さらに高まる事を意味し、結果として、輸入力も高まり貿易は活性化する。
-内需の国内価格は変わらないが、輸出品の製造に費やされる当該国家の国民のサービス従事時間の価値が高まり、海外在住者が当該国家の国内サービスを受ける際にも為替高が影響する。

-以下の要因が為替に影響する。

--信用関係の影響:輸出能力的な意味での信用
---経済指標(GDP成長率、失業率、インフレ率、貿易収支
---国際収支(資本収支、経常収支
---資源価格(石油価格、金価格

--金融関係の影響:主にマネーの需給の話
---金融政策(金利政策、中央銀行の介入、量的緩和や金融緩和政策
---投資・金融市場の動向(株式市場の動向、債券市場の利回り、外国直接投資(FDI)
---市場心理(リスク選好・リスク回避、投機的取引

--各種リスクの影響
---政治政策リスク(安定性、選挙結果、規制政策
---地政学的リスク(戦争・紛争、テロリズム
---国際協定・組織の影響(IMFや世界銀行の政策、為替協定

***¥高$安 [#j68da479]
-購買力平価~
= 日本物価変化の倍率 / 米国物価変化の倍率
--元の$¥為替レート(JPY / USD)  * 購買力平価 = 今の$¥為替レート(JPY / USD) 
--日本物価安、米国物価高で、購買力平価は1未満の値になり、¥高になる。

-¥が評価されての¥高
--米国経済の先行き懸念
--経常収支黒字($建て輸出過多 ≒ $供給
--日本金利高、米国金利安 ≒ $供給

-$売¥買 ≒ $供給 > $需要
--為替介入
--米国債売却

-投機筋
--...

***¥安$高 [#o6ab68e2]
-購買力平価~
= 日本物価変化の倍率 / 米国物価変化の倍率
--元の$¥為替レート(JPY / USD)  * 購買力平価 = 今の$¥為替レート(JPY / USD) 
--日本物価高、米国物価安で、購買力平価は1以上の値になり、¥高になる。

-$が評価されての$高
--自国経済の先行き懸念
--経常収支赤字($建て輸入過多 ≒ $需要
--日本金利安、米国金利高 ≒ $需要

-$買¥売 ≒ $需要 > $供給
--為替介入
--米国債購入
--$買い支え

-投機筋
--¥キャリー取引
--自己実現的な¥安トレンド
 
***歴史的に起きたこと [#r0464f4b]
-1948年:
--ドッジ・ラインで360¥ / $(固定相場)
--日本を反共の砦化(工業力強化の¥安

-1961年:米の金流出激化、金準備170億$割る
-1965年:米の金準備143億$に
-1967年:金保有ふやさぬ政府・日銀$体制支持に全力
-1968年:過剰な$安を日銀が40億$買い支え続ける。
-1968-71年:外貨準備高が68年から年毎に増え71年に月毎に増えた。
-1971年:米国貿易赤字に、金・$交換停止(→ 変動相場)

-1985年:プラザ合意で主要5カ国が通貨の10~12%の切り上げ
--貿易赤字削減のため、為替をドル安に誘導するのが合意の柱
--主要5カ国の金融緩和のための協調利下げとドル安に誘導のための協調介入。

-1999年:しかし、以降は$買い介入のみで、その額も非常に多い。
-2012年-:安倍・黒田の異次元緩和(資金供給量:138 → 670兆¥、ピークは2022/4)

**金価格の仕組み  [#qec4f4e8]
-経済見通しの不透明感や各国中央銀行の金融緩和を背景に金価格は高値圏で推移
-リーマンショック後の金価格の高騰は金融緩和に依る$の価値低下に依る。

#ref(xauusd_cur.png,left,nowrap,金価格,60%)

***準備金(貴金属)の価格設定 [#lb0a92bb]
-[[紙幣の歴史>#i6640cac]]に書いた通り、~
イギリスはアフリカなどの植民地から金やダイヤモンドを集め、~
金本位制として金(ゴールド)を基軸通貨とする仕組みを作った。

-今日では基軸通貨はポンドを経て米$へと移り変わったが、~
ロンドンは現在でも金など貴金属の現物取引において世界の中心。

***ゴールド・フィックス [#u66e5a8c]

-ロンドン・スポット・フィックス(London Spot Fix)~
5人のメンバーの会議によって決定された~
各貴金属(金、銀、プラチナ、パラジウム)価格

-ロンドン・ゴールド・フィックス(London Gold Fixing, Gold Fix)~
第一次世界大戦の終結後、1919年から2004年までロンドンの金市場~
ロスチャイルド5つの加盟銀行によって、金価格が決められていた。

-...~
その後、2014年まで、G7中の欧米5カ国の民間銀行によって価格が決められていた。

-ロンドン金塊市場協会(LBMA)~
2015年にゴールド・フィックス価格(Gold Fixing Price)がスタートし今に至る。

***金の保管と管理 [#x90a9c6a]
ゴールドの現物は非常に手間とカネがかかる。

-ゴールドのインゴット、純金であれば1つ12.5キロ。
-大量のゴールドを保管するとなるとその保管と管理と移動が大変になる。
-フォークリフトで運べる頑丈なパレットと非常に強固な床が必要になる。
-床や壁や天井を破って賊が押し入るから保管庫の警備が必要になる。
-安全で確実な輸送手段を確保し、税関をどのように通過するか。
-移動でも売買でも代金や手数料が必要(保険、指示、記帳、決済)
-精密な計量と品位鑑定、鑑定書の保管・照合。
-厳密な計量および数字が合わないときの迅速な捜査。
-鋳潰したり鋳造し治すときの鋳造所

バチカンでも大金持ちでも胴元とグルでなければ大量の金を生きた財産として使えない。

**国際収支統計 [#ee885221]
-経常収支、資本収支、金融収支を合算したもの
-国の経済活動と国際間の取引に関する包括的な収支の概要を提供

***経常収支 [#x17e3655]
-3大収支、[[貿易収支>#k1cfbff9]]+[[サービス収支>#w9caa104]]+[[収入収支>#kc439333]]+[[移転収支>#r5b303fd]]

***資本収支 [#neb6daac]
3大収支、国際間の資本移動に関連する収支

***金融収支 [#se1e408a]
3大収支、外国為替市場や金融市場での取引に関連する収支

***貿易収支 [#k1cfbff9]
[[経常収支>#x17e3655]]に含まれる国の輸出と輸入の差を示す指標

***サービス収支 [#w9caa104]
[[経常収支>#x17e3655]]に含まれる旅行、保険、運輸などのサービスの収支

***収入収支 [#kc439333]
[[経常収支>#x17e3655]]に含まれる投資収益や外国からの送金などの収支

***移転収支 [#r5b303fd]
[[経常収支>#x17e3655]]に含まれる国際援助や国際機関への支出などの収支

*応用 [#g0fe1304]
基礎知識を応用していこう♨️

**DS金融の栄枯盛衰 [#h0340bd5]
-第二次世界大戦後、貨幣用金の7割が米国に集まっていた。金よりドルの方が価値があった。
-欧州は、米国に金を売って、ドルを買って、ドルで米国からモノを買っていた。
-しかし、時代を経てドルの信用を米軍の軍事力を背景にした「ドル還流方式」で維持するようになった。
-そして、リーマン・ショック後にはこの「ドル還流方式」も崩壊し、世界的な秩序の転換が迫っている。

#ref(hoge.png,left,nowrap,ドル還流,50%)

***日本の場合 [#i192781d]
-60年代後半、反共の砦、日本から米国への輸出が堅調になってきた。
--この結果、米国からドルが流入するようになってきた(ドルの垂れ流し)。
--米国は、産業衰退、紙幣増発、輸入品増加、インフレとなった。

-80年代初頭、サウジでやったドル還流の仕組みを日本(ドイツ)にも応用(日独産業本位)
--安全保障と貿易摩擦を言いがかりにしてドル運用の名目で米国債を売り、ドルを還流させた。
--トヨタの損をモルガンで取り返す。モノは輸入するが、代わりに金融をやらせて儲ける。
--以降、貿易不均衡で米国が損をするほどDS(米金融資本)の金融が儲かると言う構図が確立される。

***サウジの場合 [#zfb1b908]
ペトロダラー体制の確立(1971:ニクソン・ショック、1973:変動相場制)

-米国はサウジアラビアから大量の石油を輸入していた(ドルの垂れ流し)。
-米国は裏からサウジに渡ったドルで直接投資を行いドルを還流させた。
-これだけでは足りず、石油取引をドル建てにして、ドル運用の名目で米国債を売る事にした。
-コレによって、ドルを還流させ、ドルの信用を維持した([[信用の土台の変遷(石油)>#ef0d515f]])。

***中国の場合 [#l6a1d81c]
90年代初頭、民主党は上記のスキームを中国に応用するためにいきなり産業分野に大規模な直接投資を始める。

-ポイントは中国の金融システムを米国の政治力で変えさせた点(中国産業本位)
-さらに、巨大な直接投資需要(インフラ、企業、政府、法制度、教育)で中国の近代化を米国がフルターンキー受注。
-このスキームを全世界に輸出して行くのがグローバリゼーション(拒否すると爆弾を落とされる(笑))
-また、DSの都合の良い様に、さらなる貿易不均衡と金融自由化を進める。米国国内で分断が始まる。

***ドル還流型の金融システム [#gc594d18]
「ドル還流型の金融システム」についてChatGPTに聞いてみた。

-ドル還流型金融システムは、
--アメリカの金融市場や経済に外国からの投資資金を供給することで、
--アメリカ主導の経済成長や金融市場の活性化に貢献する役割を果たしている。

-通常は、
--外国の企業や政府がアメリカ合衆国の債券や資産を購入し、アメリカの市場や金融機関にドルを投資することで形成される金融システムの一種。
--このシステムでは、アメリカ合衆国のドルが海外に出回り、外国の投資家がアメリカの資産に投資することで、アメリカの金融市場や経済にドルを還流させる。

-特徴は、
--外国からのドルの流入:先ず始めに、石油の購入、工業製品の輸入など、貿易不均衡でアメリカのドルを流出させる。
--外国からのドルでの投資:外国へ流入したドルをドル建て運用で、外国の投資家や金融機関がアメリカに投資させる事で、金融市場や経済にドルを還流させる。
--為替市場への影響:ドル還流型金融システムは、外国為替市場に影響を与えることがある。基本的には、ドル建て運用=ドル買い支えになり、ドル高基調になる。
--資金供給と金利の影響:ドル還流型金融システムは、金利や資産価格に影響を与えることがある。外国からの投資が増加すると、資金供給が増加し金利が低下する。

***転機のリーマン・ショック [#ha4301c9]
物質的な飽和によってアメリカ主導の信用創造(=[[ドル還流型の金融システム>#gc594d18]])が限界に達したことでリーマン・ショック(2008年の金融危機)が発生。

-各国がDS方式にNO!(1995ギングリッチ、2007ミュンヘン安保政策会議のプーチン、2012反鄧小平派の習近平、2016トランプ)

-以降、金融商品の価値が大暴落することで、ドルの還流が出来なくなり、今までの[[ドル還流型の金融システム>#gc594d18]]の崩壊が始まる。
--海外では直接投資の接収などで、海外投資は減少し、インフラ、テクノロジーを中心に国内投資が増加した一方で、リスク管理の強化がなされた。
--[[エプスタイン逮捕(2005 - 2008)>データ分析例 - 宇露戦争 - イベント2#j71dd14f]]、[[航空局が911の情報公開(2006)>データ分析例 - 宇露戦争 - イベント2#ud66e123]]、イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策(2007)
--表は中央銀行の金融緩和、裏は闇ドル([[アベノミクス>データ分析例 - 宇露戦争 - イベント2#bce78d8d]]、アフガニスタン、イラク・シリア、[[ウクライナ>データ分析例 - 宇露戦争]]、[[DS系事業(仮想通貨、マフィア)>データ分析例 - 宇露戦争 - イベント2#wddce476]])

-コレは、余剰ドルを相場に引き寄せていって潰して終わりを迎える。再び金本位制や資源本位と通貨バスケット([[信用の土台の変遷>#ef0d515f]])に戻る可能性

***不思議な円建の金の値段 [#m2ae76e2]
https://gold.mmc.co.jp/market/gold-price/#gold_longspan

-"¥建の金の値段" = "$¥為替レート" * "$建ての金の値段"~
 (JPY / G) = (JPY / USD) * (USD / G)

-"$建ての金の値段"が下がった("$の信用"が上がった)時~
¥安が進んでも、"¥建の金の値段"はあまり動かない。~
と言う不思議な状況が近年続いてる(特に2012-2015辺りが顕著)。

-2023/11 ¥高に行っても円建ての金価格は上昇。

-相当な裁定取引が行われている。

--ドル還流後に、前者の¥安$高になった場合は問題なし。

--キャリートレードなどのドル還流後に、後者の¥高$安になった場合の為替差損を金投資でリスクヘッジ
---$安の$建ての金を調達し、金の調達後に、¥高の円建ての金を売却
---$安の局面では金が買われて価格が上昇、$売り¥買いをリスクヘッジ。

***世界の金融の仕組み [#w32e8204]
([[中央銀行制度>#oe709490]]の延長上の話)

-大阪証券取引所に金の限月先物と言う限月交代(時期が来たら決済される)が無い変わった先物が上場されている。
-小泉 / 竹中 / 安倍 / 麻生 / 財務省 / アベノミクスの大規模金融緩和で円安に。
-DSがジャパン・ラストから金(かね)を引っ張っていると言う話はレアな話ではない。

-[[ドル還流金融システム>#gc594d18]](円キャリートレード、年金基金、農林中金、防衛費増)
--金は、通貨の価値が不安定な時期に価値を保つ傾向があるため、キャリートレードのリスクヘッジとして有効。
--為替や株は振れているが、円建ての金価格は、不思議と2020から一番安定的に上昇している。
--円高(ドル安)いったら金安でカバー、円安(ドル高)いったら金高でカバーと言う悪辣なる相場操縦(裁定取引)
--つまり、円建ての金価格はドンドン釣り上げましょう。為替はドンドン円安にしましょう(以上)。

-金価格
--出来高(金売り)が2022/7から増えていく。2023/6からまた上がり、2024前半にまた上がる。
--コレはバブルの崩壊の予兆の売り逃げで、金売が増えても金価格は上がっている(30年前の10倍の価格)。
--言い方を変えれば、円の価値が1/10になったとも言える(金の刷り過ぎ)。
--2024年は円安が進み出来高が減り金価格も下がって行き閑散相場になった。
--一方で、ドル建ての金価格は未だに(円安ドル高以上に)上昇を続けている。
--また、一方で資源(原油、ガス、鉄鋼、小麦)は値下がりを続けている。消費もドル還流も減少。

-株価
--ダウ平均株価、30種平均は上がっているが500種平均は上げ方が鈍い。株価操作も力強さがない。
--上海は底値低迷で二番底でボン上げ。共産党の意向で株価はいくらにでもなる。景気は悪い。
--日経平均は8月に暴落で戻ってきたが、せいぜい横ばい。下げかキツくなってきて円高いったら終わり。

-金利
--米国の金利は政権交代前に上げ、交代後、ドルを終わりにして下げ。
--日本の金利は円高にすれば物価が抑えられるため利上げは不要。

-つまり日本の買い支えが基軸通貨ドルの最後の砦になっている(つまりジャパン・ラスト)。

***物質時代の終焉とPPPベースGDP [#l6911edf]
ロシア経済は購買力平価(PPP)ベースで日本を抜いて世界第4位の経済大国となった(1位 中国、3位 印度)。

-PPPベースGDPは、その国の国民が購入できる財の価値で評価する指標
-モスクワのハンバーガーの値段は、ニューヨークのハンバーガーの値段の約半分。
-外需依存がなく政策的な経済自給で低く抑えられた為替レートによる。
-GDPに現れない裏取引(ロシアは39%が影の経済、日本は10%に過ぎない)がある。

世界中で基本的な工業製品の国内生産ができるようになったため、~
輸出入を増やし為替レートを高くするのが=成功ではなくなってきている。

-例えば、経済効率を上げることばかり重視し、国内市場の独立性を軽視すれば、~
--自国産業の特にコアコンポーネントの競争力を維持できなくなる。
--国内市場や自国産業が弱体化し、外部からの影響受ける。

-歴史的に見ても、このスキームは新しい者でも何でもない。
--三角貿易は貿易均衡による貿易の安定的継続が必要だったため。
--産業革命後は工業製品がを海外に輸出し原材料や食料品を輸入するという形に移行。
--さらに、単なる物資の取引から、金融資本や投資が重要な要素となり資本主義が進展した。
--コレは現在、[[ドル還流型の金融システム>#gc594d18]]を含む複雑で多様な貿易の構造へと進化した。

世界の技術的な格差が是正されるにつれ、貿易均衡と自国の産業の生産能力と各種市場の管理が重要になる。

***不均衡貿易が税金で支えられる構造 [#ce9f8b0e]
不均衡貿易の下では貿易黒字を出す国家も貿易赤字を出す国家も、双方の庶民が税金負担を強いられている構造がある。

-(赤字国、黒字国の)双方の共通点~
ドル還流と金融緩和の構造的負担

--ドル還流の悪循環:
---ドル還流は黒字国の外貨準備と米国の債務を膨張させ、双方の経済を不安定化。黒字国は外貨準備の管理コスト、米国は債務利子と物価高対策に税金を投入し、庶民が負担。
---ドル還流は米国の金融覇権を維持するが、過剰なドル供給は世界的なインフレや金融不安定性を招き、両国で税金による経済安定化策が必要となる。

--金融緩和の増幅効果:
---黒字国と米国双方の金融緩和は、短期的な経済安定には寄与するが、インフレ、バブル、債務拡大を招く。負債の利子や経済歪みの是正コストは、税金を通じて庶民に転嫁される。
---黒字国の輸出還付金や米国の補助金は、一部の企業や産業を保護するが、財政赤字を増やし、長期的な税金負担を庶民に押し付ける。

--貿易黒字国の庶民の税金負担
---為替介入に伴い、国内に自国通貨(例:円)が供給されマネーサプライが増加。
---これを吸収するため金融緩和(低金利や量的緩和)が併用されるが、過剰流動性はインフレや資産バブルを引き起こす。政府はこれを抑制する政策(例:価格安定策、補助金)に税金を投入。
---金融緩和による通貨発行は、中央銀行や政府のバランスシートに負債(例:国債)を増やす。この負債の利子支払いは、長期的に税金で賄われる。

-貿易黒字国の庶民の税金負担
黒字国(例:日本、中国など)は、貿易黒字によるドル流入で自国通貨高圧力が生じるため、ドル買い支え(為替介入)と金融緩和を行い、以下の形で庶民に税金負担が発生

--輸出企業の保護と消費税還付金:
---為替介入で通貨高を抑えても、円高傾向は輸出企業の競争力を損なう。
---政府は輸出企業を保護するため、消費税の輸出還付金制度(輸出品の消費税を還付)を活用。
---この還付金は税収の減少を招き、他の公共サービスを賄うための税金負担(例:増税や新たな課税)が庶民に転嫁される。

--外貨準備のリスク:
ドル還流で蓄積した外貨準備(主に米国債)は、ドル安や米国債利回り低下で価値が目減りするリスクがある。損失補填や経済安定化策に税金が使われる。

-貿易赤字国の庶民の税金負担
アメリカは貿易赤字国として、ドル還流によりドルが米国に再投資(例:米国債購入)されるが、ドル安や金融緩和が庶民の税金負担を増大させる。

--ドル安による物価高と生活圧迫:
---ドル還流を支えるため、FRBは金融緩和(低金利、量的緩和)を実施し、ドル供給を増やす。
---これがドル安を招き、輸入品(特に資源や農作物)の価格が高騰。食料やエネルギー価格の上昇が庶民の生活を圧迫。
---政府は物価高対策として補助金(例:低所得者向け支援、燃料補助)や社会保障を増やすが、これらの財源は税金や国債発行(将来の税金)で賄われる。

--外債利子の税金負担:
---ドル還流により、黒字国が米国債を購入し、米国の貿易赤字と財政赤字がファイナンスされる。
---しかし、米国債の利子支払いは米国の財政負担となり、税金で賄われる。外債の規模が大きいため、利子支払いは庶民の税金負担を増大させる。
---金融緩和による低金利は一時的に利子負担を軽減するが、インフレや金利上昇が起きると、債務返済コストが増え、さらなる税金負担につながる。

--金融緩和の副作用:
---金融緩和は経済を刺激するが、過剰なマネーサプライは資産バブルやインフレを招く。インフレ対策や経済安定化(例:失業対策、産業支援)に税金が投入される。
---ドル安が輸出競争力を高める一方、輸入依存度が高い米国の場合、物価高が経済全体に波及。政府の財政支出が増え、税金負担が庶民に及ぶ。

***トランプ関税の意味は明らか♨ [#o93704ff]
トランプ関税に対して石破が「何を言ってるか分からんな」と言ったらしい(笑)

-世界中で基本的な工業製品の国内生産ができるようになったため、~
輸出入を増やし為替レートを高くするのが=成功ではなくなってきている。

-世界の技術的な格差が是正されるにつれ、貿易均衡と自国の産業の生産能力と各種市場の管理が重要になる。

-サウジアラビアや日独、中国の[[ドル還流、$買い支え>#h0340bd5]]が基軸通貨ドル(≒ハイパワードな金融)の最後の砦となっていた。

-ドル還流によるQE政策を終わらせる頃合いに、[[中央銀行>#oe709490]]、[[財務省、国税庁>データ分析例 - 宇露戦争 - エピローグ#f5699e15]]、[[消費税が批判され>#q249e1c0]]、不均衡貿易に関税が掛けられた。

**$買い支え [#l539640d]
-サウジアラビアや日独、中国などで行われていた(サウジアラビア・中国はもう止めたが日独はまだやっている)。
-大きく分けて、民間でも出来ること、民間を政策で誘導する方法、政府の操作によって実施される方法がある。

***円キャリートレード [#g4a06ee5]
投資家が低金利通貨である日本円(円)を借り入れて、高金利通貨である他の通貨に投資する取引戦略

***株式、信託、NISA、401K [#s9439c34]
-株式:企業の株式を購入・保有し将来的な利益を得るための投資活動
-信託:投資家が資産の(株式・社債などでの)運用・管理を専門家に委託する。
-NISA:日本の個人投資家の投資収益が非課税となる長期的な資産形成を支援する制度。
-401K:
--日本版の401Kは確定拠出年金と言い、企業が従業員の退職金を積み立てるための制度。
--日本において個人向けにはiDeCoがあるが、60歳になるまでお金が引き出せず、利用に費用がかかる。
--確定拠出年金で用意されている運用商品は「元本確保型」と「価格変動型」(≒信託)がある。

***輸出支払い金のドル建て運用 [#e57dd9eb]
ドル建ての貿易決済で得た収入をドル建てで運用し、円安誘導を目指す手法がある。

***米国債 [#d19af0f1]
[[外貨準備、為替介入>#y0b0f827]]の一環、財政資金の運用などの目的で、円売りドル買いで得たドル原資で米国債を購入する。

***外貨準備 [#y0b0f827]
-中央銀行や政府が外国通貨や金などの外貨資産を保有すること。
-国際取引や国内経済の安定化、為替相場の安定化など、様々な目的で保持。

***特別会計 [#bac4e260]
-特別会計は、政府が特定の目的に資金を充てるために設けられた予算の一部を管理するための会計制度。
-そして外為特会は日本の政府が外国為替市場において[[外貨準備>#y0b0f827]]を管理するために設けられた特別会計。

-外為特会は、その[[外貨準備>#y0b0f827]]の運用目的や方針によって、ドルや[[米国債>#d19af0f1]]を売買する可能性がある。
--過去に外為特会が為替介入の原資となった可能性があるという見解がある。
--外国債券、[[米国債>#d19af0f1]]を購入するための資金源が外為特会の資金である可能性はある。

**JAPランドの現状分析 [#h7f13f00]
失われた30年は「ドル還流のために国内投資を行わなかった。」と言う単純な理由と分析できる。

***国際収支統計 [#c306006e]
各年において、経常収支と資本収支と外貨準備増減の合計がゼロバランスしている。

***異次元・金融緩和 [#b7c1ebc3]
-日本銀行(日銀)が2013年に導入した大規模な金融緩和政策でアベノミクスとも呼ばれる。
-ほとんど、[[転機のリーマン・ショック>#ha4301c9]]後に、強制的に[[ドル還流>#gc594d18]]させるための政策。
-国民への言い訳としては[[トリクルダウン>#k5f9d560]]と説明されたが、言い訳なので、当然、実現しなかった。
-日銀のB/Sは肥大化し、わずか1%の利上げが2年続くだけで債務超過に陥る脆弱な財務体質になった。
-超低金利のデフレ政策に慣れきった政府や企業のデフレ経営で改革は遅れ、市場機能が低下する一因となった。

***財政収支 [#q05e5305]
-[[異次元・金融緩和>#b7c1ebc3]]と相性が良い赤字を選好しているように見える。赤字は国債で補填されている。
-また、2022年時点で税収は71兆円超え、3年連続で過去最高となっている。となると支出が減っていない事が解る。
-なお、収入の法人税は減税されているが法人税以外は増税されており、支出は官製需要と関連しており民間需要とは乖離している。
-法人税&官製需要の経営は、そのままデフレ経営に繋がり、企業の設備投資の活性化などにも結びつかなかった。

***トリクルダウン [#k5f9d560]
-実現しなかった方式、官製需要に傾倒するトリクルダウンより、民間需要を反映するトリクルアップであるベキだったのでは?
-トリクルアップには富の再分配や減税も必要だし根本的にはデフレ経営の温床の超低金利のデフレ政策を停止するために大本のドル還流を辞める必要があった。

***アベノミクス [#f1963c53]
-金融緩和:[[異次元・金融緩和>#b7c1ebc3]]も目標のデフレ克服は米金利上昇まで達成されなかった。
-構造改革:そもそも政府に影響力はなく、金融緩和がデフレ経営に繋がっただけで日本経済の競争力向上に繋がらなかった。
-財政政策:公共投資の官製需要はデフレ経営を許容し、経済成長せず、雇用の拡大せず。結果、減税ならぬ増税。

***為替レート [#y0845575]
-アメリカの金融緩和政策が終わったが、日本はまだ金融緩和を続けているため。
-主に、金利差、また、その他の影響で円安、2021年からドルが右肩上がり。

-過去
--1985年 プラザ合意:円高ドル安
--1990年 日本バブル崩壊:1995まで円高ドル安、以降、円安ドル高
--1997年アジア通貨危機:円安ドル高
--2008年 世界金融危機:円高ドル安
--2011年 東日本大震災:円安ドル高
--2021年 コロナ~ウクライナ:円安ドル高

***日米株高 [#l7f014a5]
-日本が低金利で[[異次元・金融緩和>#b7c1ebc3]]を続け、株式やドル建て運用しているため。
-米がドル還流型金融システムを延命させているため(米ハイテク、新興国への投資が崩壊すると後がなくなる)。
--米ハイテク:官製トレンド~官製需要は、崩壊の可能性がある。
--新興国:脱ドル、実需原則へのシフトが考えられる。

***消費制廃止 [#q249e1c0]
消費制廃止論が盛り上がる理由

-FRB解体(財務省解体)が金融システム再構築の必要性を意味し、西側の中央銀行制度が人類発展に寄与しなくなったどころか足を引っ張り始めた事とリンク。
-実態が金融緩和&ドル還流の文脈に沿った大手の輸出産業を支援機構だった(大企業優遇の輸出還付金、社会保障財源でない、逆進性の問題、経済への悪影響)

*経済学 [#q2201c2a]
-色々と見てみましたが、基本的に、マクロ経済学は、時勢を反映した思想ですね。

-[[ケインズ>#ze20629b]]は、経済学について以下のように表現しています。
--経済学者や政治哲学者の思想は、それが正しい場合にも間違っている場合にも、一般的に考えられているよりもはるかに強力である。
--事実、世界を支配するものはそれ以外にはないのである(≒ 経済学のスタックの上で議論せざるを得ない)。
--どのような知的影響とも無縁であるとみずから信じている実際家たちも、過去のある経済学者の奴隷であるのが通常である。

**効率性と公平性 [#f3221bfb]

***幸福度と所得 [#l01d86ae]
-正の相関関係にあるのは低所得国
-先進国ではあまり相関関係がない
-所得格差が拡大すると幸福度は低下

***功利主義(ベンサム) [#jae8179f]
-最大多数の最大幸福
--快楽と苦痛を数量的に測定できる前提で、
--社会全員の快楽と苦痛の総和が最大であることが望ましい。

-経済学への発展
--マーシャルの余剰分析
---余剰:市場取引により得られる社会での利益
---総余剰が最大であれば、社会的に望ましい。

--ピグーの命題 → 厚生経済学
---第一命題:~
他の条件が一定のものとでの国民所得の増加は経済厚生を増加させる~
---第二命題:~
・所得再分配は、国民所得が減少しないならば、経済厚生を増加させる。~
・限界効用逓減の仮定(累進課税的な所得再分配はOK的な話。

***ロールズ基準 [#scf9e19e]
(正義に関する2原理)

-第一原理
--人は基本的自由に関して平等の権利をもつ。
--その基本的自由は、他人の自由と両立しうる限りにおいて、最大限尊重されなければならない。

-第二原理~
社会的・経済的不平等は次の二条件を満たすときのみ許される。
--その不平等がもっとも不遇な人の利益を最大にする(格差原理)。
--公正な機会均等という条件で万人に開かれている職務や地位に付随(機会均等原理)。

-無知のヴェール
--自分自身がいかなる境遇におかれることになるかわからない、
--最も不遇な人々の厚生が最大化されることが望ましい(第二原理、[[幸福度と所得>#l01d86ae]])。

***効率と公平 [#ef01ef53]
-効率性
--限られた資源を用いていかに大きな価値を生産できるか。
--パレート基準、パレート最適、資源配分の問題、最適資源配分

-公平性
--生産してできあがった価値(所得)を~
いかに公平に分ける(分配する)か
--所得分配の公平性、公正な所得分配

※ 経済学ではあまり、公平性について言及しない。

**[[GDP>#ebfc6302]]、[[物価>#xdecb852]]、[[為替>#v90c67a1]]、[[財政>#n3df1657]] [#i28da9de]

***GDP [#ebfc6302]
-GDP:Gross Domestic Product、国内総生産
--Gross は「総」
--Domestic は「国内」
--Product は「生産」 

-GNP → GDP~
GNPは出稼ぎを含めるので、現在は、~
GDPが中心的な指標になっている。

-正確な定義
--一定期間に、国内で、生産された、
--市場価格で表示した、付加価値の合計。~
(家事労働、公害・災害等は含まない)

--市場価格の無い例外
---帰属計算:帰属家賃、自家消費
---公共サービス:原価分を計上

-計算ルール
--国内:外国人の付加価値の生産であっても日本国内ならば計上する。
--総生産:生産していないものは計上しない(中古品、株価の値上がり益)
--固定資本減耗(会計上は減価償却)を差し引かない。

--付加価値
---原材料(半製品)は付加価値に含めない(二重計算)。
---付加価値は従業員(賃金)と株主(利益)で分ける。 

-意味

--GDPが大きい ≒ 豊かと言えるか? → あくまで指標の一つ。
---GDP国際比較、一人あたりGDP国際比較
---余暇時間、環境、人的関係性など考慮しない。
---国民福祉指標(国民純福祉)、暮らしやすさ指数、環境サテライト勘定。

--景気のすべてを GDP で表すことはできない。
---タイムリーにわからない。四半期別、速報値の改訂が多い。
---景気動向を判断する指数:景気動向指数、日銀短観

--GDP推移から読み取れること。
---好景気、不況
---歴史、世界情勢

***物価 [#xdecb852]
-物価
--個々の財の価格の平均値(単純平均ではなく、加重平均)。
--計算方法にはラスパイレス、パーシェ、フィッシャー指数などがある。~
基準年から数量が変化すると、指数は、価格の変動以上に大きくなる。
---ラスパイレス指数:「基準年(古い年)の数量」を基準として物価を計算
---パーシェ指数:「比較年(今)の数量」を基準として物価を計算

-インフレ・デフレ

--インフレーション:物価の持続的上昇。
---原因:ディマンドプル・インフレ、コストプッシュ・インフレ
---程度:クリーピング・インフレ、ギャロッピング・インフレ、ハイパー・インフレ
---経済効果:お金と比べ、モノの価値が高くなる(物価上昇、賃上げ、資産・借金の現象)

--デフレーション:物価の持続的下落。
---原因:需要の減少
---経済効果:お金と比べ、モノの価値が低くなる(物価下落、賃金停滞、資産・借金の増加)

-消費者物価指数(CPI)
--末端価格の変動を表す指数。
--項目、構成比、算出方法には国ごとに違いがある。
--基準年平均 = 100として表すので絶対値ではなく、傾きに意味がある。

--日本
---ラスパイレス算式
---総合指数、コアCPI、コアコアCPI

***為替 [#v90c67a1]
-外国為替レート:通貨間の交換比率。
-外国為替市場:通貨と通貨を交換する市場。

-レートの決定

--アセットアプローチ~
外国為替レートは通貨への需要と供給で決まる。
---¥の「需要が多ければ¥高」、「供給が多ければ¥安」
---需要と供給への影響は、超短期では収益率で決まる。
---金利が上がれば~
・債権を買いに¥を調達するので¥需要増 → ¥高。~
・債権が値下がりするので、事前に債券を売って~
 得た¥を$に換金する(¥売り$買い)ので¥供給増 → ¥安。

--フローアプローチ~
輸出量と輸入量という貿易が外国為替の需要と供給に影響を与えると言う~
為替取引の殆どが経常取引だった固定相場制度の時代に有効だった考え方。
---輸出増加~
$で受け取り売り¥を買うので、¥の需要は増加し¥高$安。
---輸入増加~
¥を売って$を買い$で支払うので、¥の供給が増加し¥安$高。

--購買力平価説
---物価が変化するような長期において物価水準で為替レートが決まると考え
---より正確には、同じ物が買えるように外国為替レートは決まると言う理論。
---ビックマックレート:~
・日本でビッグマックが250¥、アメリカで2$の時~
・250/2=125となり、1$=125¥ がビッグマック指数~
・この時点で、為替レートが1$=110¥ とすると=125¥まで¥安が進む。

-経済効果

--¥高・¥安
---¥高:輸入に有利、輸出に不利
---¥安:輸出に有利、輸入に不利

--為替政策

---為替介入:財務大臣の決定に基づき日本銀行が行う。~
・¥高を防ぐためには、¥売り$買い介入。~
・¥安を防ぐためには、¥買い$売り介入。~

---低金利政策~
・自国通貨安誘導(リーマンショック以降の先進国)~
・日本は変動相場制だが、主要通貨に固定する通貨もある(ペッグ制)。~
・スイス無制限介入策に習い外為特会の無限¥売りは可能?

--企業の為替管理~

---リスクは不確実性で、損失でも利益でもある。~
・輸出=代金の$を¥に換えるまで為替リスク~
 $安¥高だと損失、$高¥安だと利益。~
・輸入=$を調達して支払うまでの為替リスク~
 $安¥高だと利益、$高¥安だと損失。~

---リスク・マネジメント~
・輸出企業:原料の輸入を増やして為替リスクを相殺~
・輸入企業:為替予約(数カ月間)を使うことによって為替リスクを回避

--トピック

---人民元
・1997 年 2005 年:~
 ・固定相場、中国が貿易黒字拡大~
 ・アメリカは人民元の切り上げを要求。~
・2005 年より~
 ・年 2-3% の変動を許容する管理フロート制へ。~
 ・ドル連動から複数通貨バスケット連動($の重みは多い)へ。~
 ・しかし、なんでドル連動やねんと言う根本的な話が。

---基軸通貨問題~
国際取引において中心的に使用される通貨~
・条件:通貨価値安定、輸出入取引が多い、金融市場が発達。~
・現在:ドル、ドルの基軸通貨の機能低下。~
・次期候補:人民元、複数通貨バスケット。~
~
・ユーロ危機問題~
 ・ギリシャ財政危機から地中海諸国の財政赤字国への懸念も拡大。~
 ・本質は競争力の高いドイツと競争力の低い地中海諸国が共通通貨(→ 最適通貨圏~
~
・最適通貨圏の理論~
 ・取引の利便性の観点からは、通貨圏は広い程良い。~
 ・為替レートによる景気平準化の観点では、通貨圏は狭い程良い。~
 ・最適通貨圏の条件:域内で以下のいずれかを満たすこと。~
  ・物価が伸縮的~
  ・賃金率が伸縮的~
  ・労働の移動性が高い。~
  ・不況地域への財政支援できる。~

***財政 [#n3df1657]

-所得分配機能

--財政の3機能

---所得再分配~
・市場競争によって決まった所得分配を、政府が調整する。~
・一般的には累進課税などで可処分所得の格差を小さくする。~
・行き過ぎると、非効率を生む(可能性がある)。~

---資源配分機能~
・公共財~
 ・以下の様な性質を持つ財 ≒ 結局、公共サービス(司法、防衛、警察)~
  ・消費の排除不可能性(お金を払わなくても利用可能、)~
  ・消費の非競合性(一人ではなく皆が消費できる)~
 ・小さな政府論では公共財のみを提供。~
  ・市場に任せても、市場の失敗(フリーライド発生で過少供給)~
  ・政府が公的に供給(公共財供給は財政の資源配分機能)~
・補助金~
 ・当事者以外の第三者にも利益を与える(外部経済)活動が対象。~
 ・政府が第三者への利益分だけ補助金を支給し供給量の拡大を促す。~
・ピグー税~
 ・当事者以外の第三者へ不利益を与える(外部不経済)活動が対象。~
 ・環境税(酒税?たばこ税?)など、供給量の縮小を促す。

---経済安定化機能~
・ビルトインスタビライザー~
 あらかじめ経済に組み込まれている、~
 経済を自動的に安定化させる仕組み。~
 ・好景気の時:増税・失業手当支給削減~
 ・不況の時:減税・失業手当支給増~
・フィスカルポリシー(裁量的財政政策、補整的財政政策)~
 ・政府支出増加や減税などを意図的に行う財政政策。~
 ・認知ラグ(-)、決定ラグ(大)、~
  実行ラグ(大)、効果ラグ(小)がある。~
  ・決定ラグ:国会の議決~
  ・実行ラグ:予算の執行~

--公平性・効率性

---公平性:~
・所得再分配~
・主観的であり社会的~
 ・水平的公平:経済力が同等の人に等しい負担を求める。~
 ・垂直的公平:経済力のある人により 大きな負担を求める。

---効率性:~
・資源配分機能、経済安定化機能~
・限られた資源で最大の効用

-財政危機

--影響

---指標:~
公的債務残高 / GDP~
ex ローンの年収倍率

---影響~
・政府支払不能、活動停止、~
・国債価格暴落、銀行・年金財政悪化

---条件~
(破綻しない)~
・基礎的財政収支が均衡し、~
・かつ、経済成長率 > 利子率

--リカードの等価定理とバローの中立命題

---リカード~
・公債の償還が現代世代の場合~
 増税に備え貯蓄をうため経済効果は同じ(リカードの等価定理)~
・公債の償還が将来世代の場合~
 負担を将来世代に押しつけ負担を回避できるので経済効果は異なる。

---バロー~
公債の償還が将来世代の場合も、~
貯蓄が遺産に変わるだけで経済効果は同じ(バローの中立命題)。

--フリードマンの資産効果~
[[ケインズの金融政策>#ze20629b]]に似ているが、最終的に財政政策を否定(効果3)。
---効果1:貨幣供給量を公債発行に読み替える。→ 需要 ↑ → GDP ↑
---効果2:資産が増えれば... → 需要 ↑ → GDP ↑
---効果3:ただし、金利が増加... → 投資 ↓ → 需要 ↓ → GDP ↓

--財政状況

---財政状態(長期債務残高対 GDP 比)~
・日本(2021年見込):1212 兆円 GDP 比 217%~
・外国 (2020年):~
 ・アメリカ131% ドイツ73% イギリス108%~
 ・フランス119% カナダ 115% イタリア162% ギリシャ206%

---ソブリン格付けの国際比較~
国の総合的な債務返済能力(返済確率)を表す格付け(簡単な記号)。~
・AAA  オランダ、カナダ、ドイツ、スイス~
・AA+  米国、香港~
・AA   イギリス、フランス~
・A+   日本(内債、増税余力)、中国~
・A    スペイン~
・BBB  イタリア、ポルトガル~
・BBB- インド、ロシア~
・BB   ギリシャ~
・BB-  ブラジル~
・B+   トルコ~
※ S&P長期国債格付け:2021~

--財政再建

---必要性~
・インフレ → 貨幣価値低下 → 債務軽減~
・ただし、金利急上昇のリスク(荒療治

---具体策~
・財政支出削減策~
・財政収入増加策 … 「増税」、資産売却、経済成長~
・経済成長によるGDP ↑ → 公的債務 / GDP~
※ 官僚的に出来ないモノ(経済成長)、やりたくないモノ(支出削減、資産売却)が多い →「増税」。

**経済学者 [#s8a649ff]

***アダム・スミス [#d6b086c7]
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%80%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%9F%E3%82%B9

-スコットランド出身 → イギリス、大英帝国形成期

-重農主義(第一次産業)~
農業生産を重視する理論。

-重商主義(第二・三次産業)
--貿易などで貴金属、貨幣、外貨準備を増やすことを目指す。
--中継貿易型(三角貿易)、自国産業振興型(産業革命)

-国富論(諸国民の富)~
第三次産業より、第二次産業を重視しているらしい(重商主義批判)。~
これは、歴史的に、第一次 → 第三次 → 第二次と発展してきたからか。~
ただし、投資の優先順は、第一次 → 第二次 → 第三次の順番。

--国富:人口に対してどれだけ多くの財(モノとサービス)を(生産・)消費できるか?

--分業と協業が生産性を向上させ国富を増やす。中世 → 近代、分業と協業が起こる(原因)。
---私有財産制の利己心。
---資本蓄積が必要。

--資本を投下の優先順位
---ただし、投資の優先順位は、「農業 → 工業 → 商業」らしい。
---(足元を固める的な流れか?)(最後に財の売買を仲介する商業が発達)

--スミスにおける市場
---互いが必要なモノを交換する互恵の場
---((神の)「見えざる手」と言う言葉はあまり使っていない)
---市場が競争の価格調整によって需要量と供給量は等しくなる。
---市場にまかせておけば、必要な財が必要なだけ作られる。
---植民地(アメリカ)との排他的貿易を自由貿易に転換~
(→ アメリカの独立戦争 → しかし、南北戦争)。

--スミスの道徳哲学

---同感とルールによる経済秩序~
人間は自分の利害に関係なくても、~
・他人に関心を持ち、~
・他人の幸福に同調し、~
・他人の不幸に同情する。

---虚栄を原動力とする経済成長~
・虚栄から富や地位への野心が起こる。~
・競争が起こる(市場競争と市場均衡)。

---幸福とは?~
・財産は虚栄を求めた結果の幻想に過ぎない。~
・が、この幻想が経済を成長させる(→ [[幸福度と所得>#l01d86ae]])。

***ケインズ [#ze20629b]
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BA%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6

-エリート(両親はケンブリッジ大学教授と市長
-WW1 → 世界大恐慌(内需が弱く外需がクラッシュして連鎖
-(雇用・利子および貨幣の)「一般理論」

-以前(新古典派経済学)
--家計は効用最大化、企業は利潤最大化
--名目価格・名目賃金率ではなく相対価格・実質賃金率で考える。
--[[スミス>#d6b086c7]]における市場の考えを、数式を用いて精密化。

--労働市場は完全雇用
---自発的失業、摩擦的失業以外の失業は無い(賃金低下で企業が雇える)。
---実質賃金率&労働者数グラフ上の労働需要、労働供給の交点に収束する。~

--財市場、貨幣市場
---セイの法則(供給は自ら需要を創り出す
---貨幣は物価を決めるだけで、実物経済には影響を与えない

-ケインズ経済学(一般理論~
失業(非自発的失業)の発生と解消

--有効需要の原理~
有効需要とは、(支払う側が保有している)貨幣に裏付けられた需要

---失業の分類に非自発的失業を追加(3分類

---有効需要 → 国民所得(GDP) → 雇用量~
・有効需要 ↓ → 国民所得(GDP) ↓ → 雇用量 ↓ → 大量失業~
・有効需要 ↑ → 国民所得(GDP) ↑ → 雇用量 ↑ → 失業解消

--有効需要の構成~
有効需要 = 消費 + 投資 + 政府支出(公共工事)

---消費:~
・国民所得によって決まる。~
・恐慌の株価暴落などで減る。

---投資:~
・利子率によって決まる。~
・恐慌の株価暴落などで減る。

---政府支出(公共工事):~
・恐慌の解決策は公共工事~
・有効需要管理政策の始まり(財政赤字の許容~
・ハーベイロードの前提で財政収支は均衡するハズだった~
 (&color(red){→ 実際はしなかった。 → 国家債務危機へ。};)。

--流動性選好説~
利子は貨幣の流動性(交換のし易さ)を犠牲にすることの対価で、~
貨幣需要量(投機的需要)は利子率の減少関数。

---貨幣需要~
財を買うために必要な貨幣を保有すること。~
・古い~
 ・所得動機:所得の受け取りと支出の時間差。~
 ・営業動機:売上げ収入と費用支払いの時間差。~
 ・予備的動機:不意の支出に備える。~
・新しい(ケインズによって追加~
 投機的動機:資産運用(現金 or 債券)。~
 ・現金預金の利子率を下げると相対的に債権の利子が上がり債券価格が高騰し債券が売られる。~
 ・すると、銀行が保有していた債権と交換された貨幣を保有することになる。

---利子率の決定~
・利子率は、利子率&貨幣供給量グラフ上の貨幣需要、貨幣供給の交点に収束する。~
・貨幣供給量は、中央銀行が一定にコントロールする。

---金融政策~
・貨幣供給量 ↑ → 利子率 ↓ → 投資 ↑ → 有効需要 ↑ → 国民所得(GDP) ↑ → 雇用量 ↑ → 失業解消~
・ただし、貨幣供給量を無限に ↑ た場合も、~
 ・回収できそうな投資先が無い。~
 ・利子率が最低(流動性の罠)。~
 ・投資案件が無い(投資が利子非弾力的)~
 など解決しないケースも。

なんとなく、

-ケインズは、[[スミス>#d6b086c7]]が定義した投資の重要性の延長上で、外需のクラッシュが連鎖して債券市場がアンコントローラブルになっていた。~
-この中でも、投資を止めない様に、失業(非自発的失業)の発生と解消を行い経済を回復させる事を主な目的にしている。

ように見える。

***ハイエク [#m68a0277]
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%82%AF

-1899年ウィーン生まれ。
--オーストリア帝国の崩壊期 → 権威への懐疑
--[[世界恐慌の原因>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E6%81%90%E6%85%8C%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0]] → 中央銀行のミス(貨幣供給量を減らし過ぎた)
--社会主義・全体主義の興隆期 → 計画経済(社会主義・全体主義国の経済体制)
--当初は経済理論中心であったが、次第に社会哲学、心理学に領域を広げる。

--人間観
---自己の利益を追求するという経済人を想定。~
---人間の合理性に疑問 ← ポパーの可謬主義~
・情報は不完全 → 不確実性~
・人間は一直線に進歩していくとは限らない。

-自由主義

--情報と市場
---すべての情報を集中できない。
---市場は、分散化された情報を分散処理している。
---→ 文脈があり、ポラニーの暗黙知。

--経済の秩序
---意図して設計された訳ではない ≒ 設計するものではない。
---設計には明確な目的が必要だが、社会には明確な目的はない。
---→ 経験を通じて社会の合意として形成される。

--根幹
(情報処理において)
---エリートが大衆より正しいとはかぎらない。
---市場が均衡するとは考えない。試行錯誤による変化。
---経済秩序は経験を通じて自然発生的にできる習慣(自生的秩序

--晩年は、自由の存立基盤としての法を重視。
---「○○しろ」ではなく、禁止的なものが法。
---個人は正しいか分からないからこそ、選択の自由が必要。
---ただし選択にはコストがかかる → スイッチングコスト(自由からの逃亡

なんとなく、

-ケインズ以前で説明出来ない範囲を自生的秩序で説明
-経済以外の知見を自分の思索のタメに持ってきている。
-貨幣発行自由化論(筋金入りの自由

ように見える。

***フリードマン [#z46b4eef]
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%B3

-1912年アメリカ生まれ(-2006)。

--マネタリストと言う学派のリーダー

--世界大恐慌時は大学院生~
→ ハイエク同様、中央銀行のミスと考える。

--人物観
---合理的経済人を前提とする。
---(政府ではなく合理的経済人の)市場に委ねる。

--選択の自由
---政府の肥大化 → 無責任な資源配分
---例:選択の自由、インセンティブを重視した社会福祉政策

-金融政策の効果
--価格・物価の伸縮性(古典派)と情報不完全(ハイエク)を前提。
--短期的に失業率を減らす効果があっても、長期的には自然失業率に戻る(自然失業率仮説
--金融政策は実行してから効果が出るまでに半年~2年かかり金融政策が経済を不安定化させる。
--経済成長に合わせて一定の比率で貨幣供給量を機械的に増加させればよい(k%ルール)。

-財政政策の効果~
古典派に近いので余計なことはしない主義。~
(伸縮性で、短期的にはブレるが、長期的には元に戻る)

--消費は恒常所得(長期平均所得)によって決まるので、一時的な減税は効果がない。

--[[フリードマンの資産効果>#n3df1657]]~
公債発行による財政支出増加は、
---貨幣需要を増加させ利子率を上昇させ投資が減る。
---したがって、必ずしもGDPを増やすとは限らない。

--財政政策は決定までに時間がかかる([[ラグが大きい>#n3df1657]])。

***新自由主義(ハイエク、フリードマン [#iab6104a]
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E8%87%AA%E7%94%B1%E4%B8%BB%E7%BE%A9

人によって解釈が違うので政策のみ。

-サッチャー(79-90)
--大学時代にハイエクの経済学に傾倒
--第2次オイルショックのインフレ抑制と、生産性向上が課題。

--電話、電力、水道など民営化
---水道民営化は欧米でも失敗続き
---鉄道、電力は民営化で黒字化(でも地域独占

--教育に全国統一カリキュラムを導入。
--医療予算の大幅削減 → 医療制度が機能不全
--所得税、法人税を引き下げ、付加価値税を引き上げ → 地方経済が疲弊
--インフレ抑制のため貨幣供給量を削減(フリードマン、マネタリスト)→ 大量失業

-レーガン(81-89)
--就任当初、インフレ抑制と、生産性向上が課題。
--サプライサイド経済学:規制緩和、投資・所得減税
--減税により結果的にケインズ的財政政策となる。
--対ソ強硬路線 → ソ連崩壊
--日本の貿易黒字には厳しい姿勢 → プラザ合意
--双子の赤字(財政赤字と経常収支赤字)

-中曽根政権(82-87)~
第2次オイルショックをいち早く克服し、~
Japan as No.1といわれた時代。
--国鉄、電電公社、専売公社の民営化。
--ドル高是正に合意、円高容認。
--円高容認で投資が内需に向きバブルに繋がる(物価も金利も高騰)。

※ ケインズ派からのハイエク、フリードマン(大きな影響があったか?)

***イノベーション(シュンペーター [#t7ecc783]
-https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%8E%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3
-https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%82%BC%E3%83%95%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC

-1883年
--オーストリア=ハンガリー帝国のモラビア(チェコ)生まれ(-1950年)
>
+オーストリア帝国の崩壊期 → 社会の変動期
+アメリカの勃興期 → 経済の動態的な変化
+社会主義・全体主義の興隆期 → マルクスの資本主義の変遷(動態的理論)

--オーストリア共和国の大蔵大臣に就任(同年辞職)
--ビーダーマン銀行の頭取に就任(後に経営危機となる)。
--世界大恐慌 → 複数の[[景気循環>#j4876684]]の下方曲面が重なると考える。

--問題意識~
経済の中に、経済変動の要因がある。

---古典派経済学が静態的であることに疑問。~
・静態的:技術、人口などの条件が変わらない限り同じ循環を繰り返す。~
・動態的:経済構造の内部に変化を生み出すメカニズムがある。

---既に、マルクスが「資本論」で経済の内部構造によって資本主義の行き詰まりを説明。

-イノベーション

--新結合、非連続的な質的な変化。~
馬車をつないでも鉄道にはならない。

--資本主義の本質は創造的破壊。~
大企業(独占・寡占)には超過利潤を研究開発に回し~
生産革新を行う力があると肯定的に評価した。

--5つの新結合
---新しい財(貨)の生産~
電気自動車、クラウド、モバイル
---新しい生産方法の導入~
JIT、セル型生産方式
---新しい販路の開拓~
アプリストア
---原料あるいは半製品の新しい供給源~
ゴールド・ラッシュ、油田開発
---新しい組織の実現(トラストの形成や独占の打破~
電話通信、宅急便

-企業家

--企業家とは新結合を遂行する人。動態的人間。
--日常的な経営管理を行う静態的な経営者とは異なる。~
(後に、ドラッカーはイノベーションは経営者の役割として統合)

--3つの資質
---抵抗に打ち勝つ強い意志
---過去の習慣や常識にとらわれない精神的な自由。
---本質的なものを把握、非本質的なものを除外し事態を見通す洞察力。

--イノベーションの動機
---私的帝国建設の願望
---勝利者願望
---創造の喜び

--銀行家の役割~
投資銀行、ベンチャーキャピタル
---資本は既に、旧結合が使っている。
---そこから資本をはぎ取り、有望な企業家に資金を提供する。

--衰退

---経済の官僚化~
・企業が成功すると大企業となり中小企業を駆逐する。~
・大企業では、企業家よりも官僚化された専門家が評価される。

---個人主義~
個人の合理的な利益を超えたイノベーションの動機が衰退する。~
・時間的な視野も自分の人生に限定される。~
・子供は経済的利益に合わないので少子化が進行。

---社会主義~
民主主義、個人の自由が尊重されるが、経済だけが官僚機構により価格決定などを行う制度。~
・社会主義的:公共事業、所得再分配、社会保障政策~
・社会主義化の条件:資本主義的欲求の消滅 → 長い期間 → 憲法改正、

***ヴェルナー理論 [#u8fd27be]
-金融経済と実体経済のうちの~
実体経済の信用創造量増加(国民向け量的緩和)を重視

-他の経済学は金融経済と実体経済を分離していない。

--供給側を重視~
新古典派のみ。

--需要側を重視
---ケインズ派(財政出動)
---マネタリズム派(通貨供給量)
---マルクス経済学(富の再分配)

*金融政策 [#n7df06d2]

**貨幣供給 [#e3d8af57]

***貨幣 [#vf515c1f]
-具体的には現金+預金。

-3機能
--交換仲介機能
--価値尺度機能
--価値保存機能

***中央銀行 [#r8a00456]
-...

-3機能
--発券銀行
--銀行の銀行(最後の貸手
--政府の銀行
---多くの国では中央銀行は政府や議会から独立~
---政策目標:①物価の安定→貨幣経済の維持、②完全雇用~

***信用創造 [#x0dbac61]
金融の脆弱性の源でもある。

-ハイパワード・マネー~
中央銀行が市中に供給した現金。~
この現金が何倍もの預金を作り出す強い力がある。

-法定準備率~
預かった預金のうち、最低限、日銀に預けなくてはならない金額の比率。

-信用創造~
日銀が供給した現金(=ハイパワード・マネー)が何度も、~
貸し出しと預金を繰り返すことにとって、預金が増えること。

-貨幣乗数~
ハイパワード・マネーの何倍貨幣が供給されるか。

-貨幣供給量~
= ハイパワード・マネー * 貨幣乗数

***手段 [#obed0efd]
-公開市場操作~
中央銀行が国債などを市場で売買することにより、~
ハイパワード・マネーの量を増減させること。

--買いオペ~
中央銀行が市場で国債などを買うと、~
中央銀行は国債などの代金として売り手に現金を支払うので~
市中への現金の供給となり、ハイパワード・マネーの増加

--売りオペ~
中央銀行が市場へ国債などを売ると、~
中央銀行は国債などの代金として現金を買い手から受け取るので、~
市中からの現金の回収となり、ハイパワード・マネーの減少。

-日銀貸付
--市中銀行に貸出。
--市中銀行から回収。

-法定準備率操作~
準備率を変更する。頻繁には変更できない。
--法定準備率 ↓ → 貨幣乗数 ↑ → 貨幣供給量 ↑
--法定準備率 ↑ → 貨幣乗数 ↓ → 貨幣供給量 ↓

-公定歩合(旧)基準貸付利率(新)操作~
市中銀行に貸出す際の金利の実態(旧)基準(新)
--かつては、公定歩合を基準に市場利子率が決められていたので、強力。
--現在はアナウンスメント効果のみ(最近は市中銀行は金融市場から借りるタメ)。

**ケインズ派 [#v407946e]

***古典派の貨幣 [#d3f77693]
古典派の貨幣ベール観・貨幣数量説

-基本的に、景気が良い前提。
-貨幣は実物経済には影響せず、物価に影響するだけ。
-貨幣供給量が2倍になれば、賃金・物価も2倍になる。

***[[ケインズ>#ze20629b]]の利子論 [#mfa2f477]
-貨幣市場できまる利子率が投資に影響を与え、実物経済に影響すると考えた。
-利子とは貨幣のレンタル価格であり、利子率は貨幣の需要と供給によって決まる。
--貨幣需要量(投機的需要)は利子率の減少関数。
--利子率は、利子率&貨幣供給量グラフ上の貨幣需要・供給の交点に収束。

***投資の限界効率 [#cd898082]
-定義
--投資の利益率を定期預金の利子率で表示したもの。
--投資により得られる将来の収入の割引現在価値の合計と投資費用が等しくなる割引率

-投資の実行と増加
--投資の限界効率が利子率よりも大きいときに投資が実行される。
--[[ケインズの投資の限界効率理論によると、利子率が下がると投資は増加する。>#b7cc3caf]]

***金融緩和・引締策 [#w57a7a11]
金融緩和策、金融引締策(投資の制御)
-金融緩和政策
--デフレ時に貨幣供給量を増加させ、利下げ&完全雇用
--→ 利子率 ↓ → 投資 ↑ → 財の需要 ↑ → 生産 ↑ → 雇用量 ↑ → 完全雇用の実現。
--デフレでない深刻な不況では、[[貨幣供給量を無限に ↑ る金融緩和策も効果がない。>#ze20629b]]

-金融引締策
--インフレ時に貨幣供給量を削減し、利上げ&物価安定
--→ 利子率 ↑ → 投資 ↓ → 財の需要 ↓ → 物価安定。
--好景気ではないインフレでも、金融引締策は効果がある。

***短期金利と長期金利 [#c2586cf2]
あたりまえだけど、長期金利の方が金利が高い(何故か?

-期待理論~
長期金利は、その長期期間に予想される短期金利の平均値であるという理論。

-期待仮説と流動性プレミアム仮説
--短期金利の平均より高めになる。
--流動性プレミアムだけ上乗、
--投資期間が長くなるほど、
---将来の金利の変動によるリスクは大きくなる。
---償還までの期間が長く流動性リスクが大きくなる。

***ゼロ金利政策+量的緩和 [#lcc1fb63]
-ゼロ金利政策

--無担保コールレート・オーバーナイト物をできるだけ低めに推移する~
(=取引手数料を除くベースでゼロ%近傍で推移する)ように促す政策。

--無担保コールレート・オーバーナイト物~
コール市場(金融機関が日々の短期的な資金の過不足を調整するための取引を行う市場)における~
無担保での資金貸借のうち、約定日に資金の受払を行い、翌営業日を返済期日とするものにかかる金利

-量的緩和
--ゼロ金利政策から一層の金融緩和策として採用。
--資金量(市中銀行の日銀準備金)を金融調整目標に行った金融緩和政策。

***フィッシャー [#gdc6b838]
フィッシャー方程式を前提とした(インフレ期待を煽る)政策(で上手く行かなかった感)~

-フィッシャー方程式~
名目金利と実質金利の関係(継続的に経済成長して行く前提のような?

--内容~
期待インフレ率次第で金利が変わる。
---インフレであれば実質金利は名目金利より低い
---デフレ であれば実質金利は名目金利より高い

--式
---名目金利 = 実質金利 + 期待インフレ率
---実質金利 = 名目金利 - 期待インフレ率

-デフレでない深刻な不況から脱却するには?(クルーグマン、バーナンキの提言)~
大胆な金融緩和 → インフレ期待 ↑ → 実質金利 ↓  → 投資 ↑ → 財の需要 ↑ → 生産 ↑ → 雇用量 ↑ → 完全雇用の実現。

*景気と投資 [#d53bfa8e]

**景気循環 [#j4876684]
時系列データがもつ短期的な周期性

***投資決定理論 [#b7cc3caf]

-投資の限界効率理論~
金利が低ければ投資するの意(ケインズ本人)
--投資の限界効率 > 利子率ならば、投資実行。→ 利子率が下がれば投資が増える。
--投資の限界効率の計算の仕方:[[内部収益率(IRR : Internal Rate of Return)>PMP:利益測定法(意思決定モデル)#udb802ea]]

-加速度原理~
国民所得が増えれば投資するの意(ケインズ派)
--資本量は国民所得に資本係数を掛けたモノ。
--資本量の変量であえる投資量は国民所得の変量に比例。

-トービンのq~
儲かるなら投資するの意(トービン)
                企業の市場価値(株価総額+債務総額)(←利益
 トービンのq = ――――――――――――――――――――――
                    既存資本の買い換え費用総額(←費用

***景気循環論 [#y7454410]
景気循環とは、

-景気が良い時は山、
-景気が悪い時は谷、

といったように波のようなうねりの事

-サミュエルソンの景気循環論~
計算式によって、経済の中に景気循環という不安定要素があることを説明

--[t]は今年、[t-1]は去年の意味の一つのまとまり。

--今年の消費(Ct)、去年の所得(Yt-1)とし、~
今年の消費は、去年の所得によって変わると仮定するので、
 Ct = α(Yt-1)

--今年の投資を(It)、今年の消費を(Ct)、去年の消費(Ct-1)とすると~
今年の投資は、今年の消費と去年の消費との差と仮定するので、
 It = β((Ct) - (Ct-1))

--今年の国民所得を(Yt)とすると~
今年の国民所得は、今年の需要と等しくなる(Gtは今年の政府支出)
 Yt = Ct(消費)+ It(投資)+ Gt(政府支出)

--今までの数式をまとめ
 Yt = α(Yt-1) + β((Ct) - (Ct-1)) + Gt
 Yt - α(Yt-1) - β(Ct) + β(Ct-1) = Gt
 Yt - α(Yt-1) - β(α(Yt-1)) + β(α(Yt-2)) = Gt
 Yt - α(Yt-1) - αβ(Yt-1) + αβ(Yt-2) = Gt
 Yt - α(1+β)(Yt-1) + αβ(Yt-2) = Gt

--この式から差分方程式を作ると、~
循環の波を数学的に説明できる(らしい)。

-ヒックスの景気循環論
--天井(完全雇用)と床(需要減限界)に制約された範囲で変動
--サミュエルソン・モデルを若干修正、
 It = β((Ct) - (Ct-1)) 
 It = β((α(Yt-1)) - (α(Yt-2))) 
 It = αβ(Yt-1) - αβ(Yt-2)
 It = αβ((Yt) - (Yt-1)) とした。

-[[シュンペーター>#t7ecc783]]の景気循環論
--第1波:新結合 → 模倣者 → 好況 → やがて価格低下 → 不況
--第2波:期待 → 投資拡大 → 過度な投資の調整 → 不況
--第3波:コンドラチェフの波、ジュグラーの波、キチンの波の複合景気循環。
---コンドラチェフの波~
技術革新による周期50年の長期循環。
---ジュグラーの波~
設備投資による周期10年の中期循環。
---キチンの波~
在庫投資による40ヶ月の短期循環。

-マネタリストの景気循環論

--[[フリードマン>#z46b4eef]]
---①価格の伸縮性
---情報の不完全性

--裁量的な金融政策が景気循環の原因
---中長期的に実体経済に影響はない。
---しかし、短期的に情報不完全で実物経済に影響を与える。

-リアルビジネスサイクル(実物的景気循論)
--最も[[古典派>#ze20629b]]に近く、経済は常に均衡状態であり、景気循環はショックを和らげるプロセス
--労働供給の異時点間の代替(今働くか将来働くか)や技術革新などが外部からのショックとして影響を与える。

-経済安定化策~
ケインズ派については、短期の景気変動は是正すべきというスタンス。

--政府支出増加、減税など経済安定化政策(裁量的財政政策)。
--ビルトインスタビライザー(自動安定化装置)
---所得が増えると税額も増えるような所得税制度
---失業者に支給される失業保険金

**経済成長 [#ab63c6db]
時系列データがもつ長期的なトレンド

***成長会計 [#n78cff29]
-前提の生産関数
 Y = AK^α * L^(1-α)

--Y:国民所得は、
--A:定数(技術進歩)
--K:資本量と、
--L:労働力が、

>増えれば増加する。

-対数Logをとって時間Tで微分すると、
 経済成長率(Yの増加率)=(Aの増加率)+ α *(Kの増加率)+(1 - α)*(Lの増加率)

-(Aの増加率)は全要素生産性(TFP)と呼ばれ、主に技術進歩と想定される。
 (Aの増加率)=(Yの増加率)- α *(Kの増加率)-(1 - α)*(Lの増加率)

-GDP成長率の構成要素の分解~
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4510.html
--TFPの寄与(ソロー残差)
--資本の寄与
--労働構成(質)の寄与
--労働時間(量)の寄与
---人口ボーナス
---人口オーナス

***新古典派の成長理論 [#o740d5a9]
長期的な話の場合、物価が一定の[[ケインズ派ではなく新古典派>#ze20629b]]になる。

-ソロー=スワンモデルは、~
一人あたりの国民所得は一人あたりの資本量(資本装備率)によって決まると想定。

--一人あたりの資本装備率 → 国民所得を増やす要因
---一人あたりの貯蓄
---→ 一人あたりの投資
---→ 一人あたりの資本量(資本装備率)の増加
---→ 一人あたりの国民所得を増やす要因

--一人あたりの資本装備率 → 国民所得を減らす要因
---労働人口増加率の上昇
---→ 一人あたりの資本量(資本装備率)の減少
---→ 一人あたりの国民所得を減らす要因

--定常均衡~
資本装備率、一人あたりの国民所得は安定する。
                一人あたりの貯蓄(資本装備率増加要因)
 資本装備率 = ―――――――――――――――――――
                労働人口増加率(資本装備率減少要因)

***内生的成長理論 [#db4ef4d5]
内生的成長理論:技術進歩がなぜ起こるかを考える

-[[シュンペーター>#y7454410]]の成長理論~
イノベーション生む 5つの力。
++新しい財貨の生産
++新しい生産方法の導入
++新しい販路の開拓
++原料あるいは半製品の新しい供給源
++新しい組織の実現(トラストの形成や独占の打破)

-AK理論~
技術進歩より、広義の資本が増加し国民所得が増加すると考える。

--前提の生産関数
 Y = AK
---A:正の定数(技術は一定)
---K:広義の資本

--通常の資本ではなく、広義の資本とし、~
通常資本とされる機械や道路などの他に以下の技術進歩を「促す」要因を含む。
---教育者数、研究者数、
---教育制度、研究開発制度、特許制度
---特許数などアイデア・ノウハウなどの蓄積

-ローマー・モデル~
研究者が発明から利益を上げるという行動パターンから技術進歩を考える。

--前提の生産関数
 Y = AK
---Y:国民所得
---A:変数(技術は変化する)
---K:資本

--A(技術)
---...は、アイデア・知識の蓄積が多いほど大きい。
---...の増加率は、アイデア・知識の増加率に比例する。

--アイデア・知識
---...は外部性(学習効果、模倣効果)があり、かつ、規模の利益がある。
---...の増加率 = 研究者数の増加率 + 研究者一人あたりの提案数の増加率

**格差社会 [#e9088fef]
(+複雑系経済)

***経済的格差 [#jd4bc479]
-ローレンツ曲線とジニ係数~

--ローレンツ曲線

---所得分配の平等度を表現する図~
・縦軸:人員(国民)の累計所得額~
・横軸:人員(国民)の累計人数

---均等所得線と完全独占の間の曲線~
・均等所得線:所得が均等~
・完全独占:所得が独占

--ジニ係数
---0(均等)≦ジニ係数≦1(独占)
---均等所得線とローレンツ曲線の間の面積
---ジニ係数が大きいほど所得格差大きい。

-ジニ係数の推移と比較

--日本~
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/466

---1980から格差が広がっている。
---当初所得のジニ係数が増加
---再分配所得のジニ係数も増加

--世界の格差
---EUは小さい。
---日本は比較的小さい。
---米中は比較的大きい。
---BRICsもピンキリで大きい。

-望ましい社会とは
--所得の不平等自体が不公平とは限らない。
--所得格差の原因
---結果の格差(成果主義と能力主義)
---機会に格差(希望格差社会)

***複雑系経済 [#v3d0600d]
(伝統的経済学に含まれない、ワードロップ、吉永良正)

-複雑系では結果は解らない。
-故に結果よりプロセスを重視。

-ミクロ・マクロ・ループ~
マクロとミクロは相互に影響し合っている。
--個々人の行動(ミクロ)が秩序(マクロ)を創る。
--秩序(マクロ)に従って個人は行動する。

-収穫逓増(≠収穫逓減~

--新古典派が想定しなかった収穫逓増
---収穫逓減 → 労働力の増加率ほどの収穫物は増加しない。
---収穫逓増 → 労働力の自己組織化で収穫物が増加する。

--4つの収穫逓増
|発現機構|整理された用語|関連の話題|主な提唱者|h
|生産規模に関する|規模の経済|巨大化、独占化|マーシャル|
|結合範囲に関する|範囲の経済|設備・技術の共用|チャンドラー|
|時間経過に関する|学習の経済|技術進歩・産業化|村上泰亮|
|使用連結に関する|連結の経済|デファクト標準|B.アーサー|

***複雑系経営 [#f9fb7e77]
-企業を機械システムではなく社会システムと考える。
-社会システムは相互依存関係が重要。
--タテ:上下間の統合
--ヨコ:部門間の連携

-創発を促す経営~
ミクロ・マクロ・ループ → トップ・ボトム・ループ

-経営品質:目的を実現できる組織の状態
--限定合理性 → 認識の相違 → 対話による統合
--https://www.google.com/search?q=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%B5%8C%E5%96%B6%E5%93%81%E8%B3%AA%E8%B3%9E&tbm=isch

**少子高齢化 [#ebf34de9]
(+フリー経済・シェア経済)

***影響 [#u74d3916]
-人口減少の影響

--人口減少で需要の減少
--少子高齢化で生産年齢人口の減少
---生産力の低下
---経済大国から中規模国へ
---一人あたりの生産性は向上

--対応(選択肢
---ブランド化で独自の地位
---自給自足的スロー経済

-高齢化の影響

--医療・介護費増大
---医療・介護市場拡大
---医療・介護財政逼迫

--高齢者を意識した政策決定
---問題先送り

-少子化の影響
--将来の生産人口が減少
--学校教育市場縮小 → 文教予算縮小
--おもちゃなどの子供向け商品市場縮小

***フリー経済 [#o6cf354f]

-フリー戦略

--直接的内部相互補助~
特定の商品・サービスを販売するために他の商品・サービスを無料にするフリー戦略モデル

--三者間市場~
サービスの提供者が利用者とは別の第三者(例えば広告主)から利益を得るビジネスモデル

--フリーミアム(無料版 → 有料版)~
基本的なサービスや製品を無料で、高度なサービスや機能は有料で提供するビジネスモデル

--非貨幣市場~
社会貢献や、世間からの注目や評判を得るために行われる価値提供(ビジネス上では ≒ ブランディング)

-経済的分析

--限界費用(≒ 原価)が価格以下ならば供給する。
--需要曲線(安いほど増える)、供給曲線(高いほど増える)
--情報は限界費用がゼロ...であれば価格0(フリー戦略)が社会的には望ましい(?)

--ベルトラン・パラドックス

---2企業間の競争で価格が一気に限界費用まで下がる~
1社増えるだけで1企業の独占価格から完全競争価格に。

---実際には価格は急落しない現実とのギャップ

---この逆説を解く3つの理由~
・【製品差別化】相手よりも高くてもある程度は売れる。~
・【生産量制約】安価では市場需要をすべて満たせない。~
・【動学的競争】時間を通じて暗黙のカルテル、共謀。


-シグナリング~
価格が品質のシグナルとなることもある。
--無料だと品質が悪いのではないか? → 若い世代は無料への抵抗がない。
--情報の場合は確認できるが確認の手間がかかる → 口コミ、レビュー、評価

***シェア経済 [#xf7ccf1e]
-所有による使い捨て消費の問題点
--製造資源枯渇 → イニシャル・コスト
--専有のコスト → ランニング・コスト
--低い稼働率 → コスパが低い

-シェア=コラボ消費の3類型
--中古市場
--時間・空間・情報を共有
--共有して稼働率を向上

-コラボ消費の4大原則
--クリティカル・マスの存在
--余剰キャパシティの活用
--共有資源の尊重
--他者との信頼(評価システム
---評価情報の蓄積(評価資本
---参加者の関係性(社会資本

*事例研究 [#s8fa72e4]

**バブル崩壊 [#s56b5de0]

**リーマン・ショック [#r44e0580]

**SBFのFTXとSVB(笑) [#oba82d1f]
-https://johosokuhou.com/2023/03/14/66106/
-https://johosokuhou.com/2023/03/18/66230/
-https://alt-market.us/get-woke-go-broke-its-time-to-talk-about-svbs-ties-to-the-world-economic-forum/

*参考 [#v983078c]
-お金ができる仕組み。~
銀行の詐欺システム money as debt (日本語字幕版)~
https://www.youtube.com/watch?v=PnVBwrXA990

-CGS 日本経済 天野統康 第57回、1-4~
https://www.youtube.com/watch?v=aun_NQcVeso

-外国為替を高校生に教える~
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ecoedu/35/35/35_95/_pdf/-char/en

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