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目次 †
概要 †
源流 †
- 製造業はQCDの三つの柱で成り立っているとされる。
- Qは品質 (Quality)
- Cはコスト (Cost)
- Dは納期 (Delivery)
- 生産技術部門はコストの責任部門
- 製造業においては、企業の中核的な機能を担う重要な部門。
- 活動の成果は企業の業績に直結するため、
発言範囲は生産現場から経営企画にまで及ぶ。
- 学問的知識に加えて、それぞれ加工技術の専門知識と経験が必要とされる。
昨今 †
- 環境変化に柔軟に適応することが重要になってきたことから、
QCDにFは柔軟性 (Flexibility)が加えられ、QCDFと言われている。
- SCMとビジネスモデルに書いたようにより上流にシフトしてきており、
生産技術が現場から遠ざかるようになり、生産技術者の育成が困難になってきた。
詳細 †
歴史 †
産業革命 †
- 動力機関として使用可能な蒸気機関が発明された。
- 余剰労働力が大量に発生した。
- 生産調整もなかったため不景気(生産減少)という状態も発生した。
- 不景気の中、より高い生産性を実現し競争に勝ち残るための専門職、生産技術者が出た
- イギリスは
- それまで禁じていた機械の輸出を認めるようになる。
- イギリスは軽工業から重工業に移行する。
- 結果、
- 欧米で一気に工業化が進むことになった。
- アメリカでは、最初から経営や株式、民主主義といった
システムを駆使してアメリカ合衆国を作り上げていった。
工程設計の誕生 †
- 1888年、アメリカのフレデリック・W・テイラーが科学的管理法を提唱する。
- これは今で言う工程設計による標準工数を設定し、製品ごとの原価を決定する手法
- 時間寄与ではなく成果主義になり、労働者のやる気が喚起された。
- 経営者から見ても原価の管理が可能になるというメリットが得られた。
- これにより、製造業の収益性が大きく向上し、
生産技術の基本として現在では全ての製造業で行われている。
生産ラインの誕生 †
ライン生産方式、フォード生産システムとも呼ばれる大量生産の方法
- 高い品質と低コストで自動車を生産することを可能にした。
- 工程を細分化し、仕事を誰でも出来る単純な作業にすることで熟練工が不要にした。
- さらに一つ一つの作業を効率化することによって、単位時間当たりの生産量を上げた。
- この頃、以下が始められた。
- 設計段階での、生産技術者による生産性検討
- ライン設計やタイムスタディといった生産技術の基本的手法
組織論の誕生 †
- 人間に単純作業を強いる生産方法が問題になった(過酷な労働、労働者の使い捨て)。
- エルトン・メイヨーが1927年から5年間、労働者のやる気に初めて科学的な光を当てる。
- これを契機にこの研究は組織論、産業心理学、人間工学などへと発達していく。
- 現在日本の企業でも行われている、目標管理制度やセル生産方式の源流。
品質管理の誕生 †
日本における生産技術 †
- 富国強兵
富国がすなわち生産技術
- 殖産興業の官営の工場(製糸場、紡績所などの軽工業)
- 技術も経営も欧米からのエンジニアによって運営されていた。
- 後のトヨタ自動車の元となった豊田自動織機などの新興企業が生まれた。
- 第二次世界大戦
- 海軍が主体で艦船建造の生産技術が徐々に蓄積されていった。
- 1920年頃には船舶生産能力300万総トン/年と世界のトップレベルに達する。
- ミッドウェー海戦後、船舶と航空機を失うと、民間企業に生産技術が移植される。
- 部品の制式化は戦後に日本工業規格(JIS)へと受け継がれる。
- 造船業、自動車、建設機械、家電の生産に継承され高度経済経済成長の基礎になる。
現在 †
工数と工程設計 †
工数とは、製造原価を決定する数値で、工程設計によって計算される。
生産性検討 †
- 具体的には、設計図に生産性を加味するために行う設計部門と生産技術部門、
あるいは製造部門の担当者を織り交ぜて行う図面の検討作業のことである。
- 材料の歩留まり、作業性などを図面を見ながら話し合い、
可能な部分はその場で図面に織り込んでいく。
- 3DCADが普及により生産性に関する要望を早期に製品へ反映しやすくなった。
- 設計と生産性検討を同時に進める事をコンカレント・エンジニアリングと呼ぶ。
- 各製造工場と以下の機能で連携するソフトウェア、システムも存在する。
- 応力解析システム
- オフラインティーチングシステム
- 作業性解析システム
- コスト見積システム
- ラインシミュレーションシステム
- サイマルやサイマル活動
- 製品のアッセンブリー化により製造コストの90%は、設計段階で決まるようになる。
- 設計段階で如何にコスト削減のアイデアを織り込むかが重要となってきた。
- 設計の初期の開発段階から生産性を織り込むケースが増えてきた。
- 戦略的にコストを下げるために、図面を描く前から生産技術者が設計に参加する。
設備計画 †
- 工場新設などの高額な設備投資の場合、その出来不出来は
企業の経営に大きな影響を及ぼすため、経営に関する知識が不可欠。
技術開発 †
企業は少しでもコストパフォーマンスの高い製品を提供することが求められている。
生産性指標 †
- 損益分岐点
一般に固定費が少ないほど損益分岐点は低くなる。
- 工数消化率
工数消化率 = 実績工数 / 計画工数
- 操業度
簡単に言えば残業時間の平均。
0~1に入る数値であることが望ましい。
- チャージ
労働者の時給に、設備の償却費や間接人員のコストをみなしで加えたもの。
- 製造原価
製造原価 = 製造工数 x チャージ + 材料費
- 仕切価
- 工場出荷価格、工場卸値、SVMとも言う。
- 工場からディーラーへ供給される時の製品の価格
SCMとビジネスモデル †
- ビジネスモデル
中間在庫の位置でビジネスモデルが区別される。
- 在庫販売(STS)
顧客が在庫を見て注文する(Ship to Stock)
- 見込生産(MTS)
見込で生産した在庫に顧客が注文する(Make to Stock)
- 受注組立(ATO)
顧客注文により最終の組み立てをする(Assemble to Order)
- 受注仕様組立(CTO)
顧客の注文した内容に従った仕様で構成管理をして納入する(Configure to Order)
- 受注加工組立(BTO)
顧客注文後に加工組み立てをして納入する(Build to Order)
- 受注生産(MTO)
顧客注文後に原材料調達をし生産納入する(Make to Order)
- 受注設計生産(ETO)
顧客の注文に従い設計し生産納入する(Engineer to Order)
- DELLはBTOと呼ばれる、ビジネスモデルで短納期と低コスト化を実現した。
- 購買代理業者
スクラッチのSI:受注設計生産(ETO)-受注生産(MTO)
- パッケージャ
・SIテンプレ:受注生産(MTO)-受注仕様組立(CTO)
・ノンカスタマイズのパッケージSI:受注仕様組立(CTO)-受注組立(ATO)
- 要素提供者
プロダクト開発・販売:見込生産(MTS)-在庫販売(STS)
ソフトウェア生産技術 †
- 生産ラインとの最も大きな違いは、製造工程の比率
- プログラミング作業には設計作業が含まれる。
- パンチャーの作業や媒体のコピー部分が製造に該当する。
- 知的労働集約型部分の比率が大きく、特に、昨今の
ソフトウェア開発は「製造業」的では無くなってきている。
- 以下が特徴的だ(った)が技術革新により変化している。
- 開発言語や、統合開発環境の修練
- ステップカウント&カバレッジメジャーの開発
- 統合CASEツール、開発支援ツールの開発や仲介
- 生産性検討と言うよりも、生産性向上のサイマル活動が中心になっている。
- 開発言語や、統合開発環境の知識を活かした設計実装ノウハウの提供。
- 統合CASEツール、開発支援ツールの仲介や提供
歴史 †
ソフトウェアはハードウェアはおまけから始まっている。
一方で、ハードウェア、ソフトウェアを製造する、
工場(サプライサイド)の重要性は低下している。
変遷 †
デマンドサイドへのベネフィット提供が重要になってきている。
- QCDよりベネフィット。プログラム・マネジメントの必要性
参考 †