「.NET 開発基盤部会 Wiki」は、「Open棟梁Project」,「OSSコンソーシアム .NET開発基盤部会」によって運営されています。
目次 †
概要 †
- オープンアーキテクチャとは、ネットワーク上での組織化の方法論
- モジュール間を社会的に共有されたオープンな(汎用性のある)インターフェースで繋ぐ。
- ネットワーク上に分散して存在する多様な主体の情報資源を結合して価値の増大をはかる。
詳細 †
背景 †
第一 †
- 機械の情報処理・伝達能力が飛躍的に伸びているのに対して、
- 人間の認知能力や人間間のコミュニケーション能力が希少資源となっている
こと。
第二 †
情報がそれを運ぶ媒体(紙など)から分離したこと。
- すなわち情報は複製するコストが限りなくゼロに近い。
- これが情報を結合させることによって生まれる連結の経済(宮澤 1988)と
あいまって情報を公開し他者の情報と結合させる戦略を有利なものとしている。
第三 †
情報の非対称性の「逆転」現象。
- 情報の非対称性とは取引主体間で持っている情報量に差がある状態のこと
- 従来は
- 売り手の方が商品の品質や市場価格などについて多くの情報持っているのに
- 買い手の方はあまり持っていないといった状況が一般的であり、
- それが取引形態に影響を与えていたことを説明するために使われた。
- ところがインターネットなどの手段によって、
- 何がどこでいくらで売られているかなどの情報が
かなり広範に広まるようになってくるにつれて、
消費者側も多くの情報量を持つようになってきた。
- ところが消費者に関する情報は簡単には流通しないし、
- プライバシー保護の観点からは流通させるべきでもない。
ビジネスモデルについて †
ココでのビジネス・モデルとは、
- 誰にどんな価値を届け、
- そのために
- 経営資源をどのように組み合わせ、
- その経営資源をどのように調達し、
- パートナーや顧客とのコミュニケーションをどのように行い、
- いかなる流通経路と価格体系のもとで届けるか?
についてのビジネスのデザインについての設計思想。
情報技術と経営 †
- 情報技術と経済効果の間には複雑な因果関係があって、
「コンピュータを何台買ったから、いくら儲かるようになる。」
といった直線的な計測ができない。
- 情報技術のインパクトの評価が難しいのは以下に起因するものと思われる(竹内,1988)
- 技術一般の性格として、
- 目的に対する実現手段であって、
- かつ複合的なシステムの一部として使われるため、
- 決定論的に技術が経済活動に影響を与えるとは言えないこと、
- 情報は発信者から出される形式的な量として計ることができても、
- それが生む意味や価値の評価は
- 受け手の意味解釈システムに依存し、
- 評価することが極めて難しい。
ビジネス・モデルの進化 †
- 井上(1998)は
- 情報システムを
- ビジネス(事業)システム進化の文脈の中で考えること
を提案している。
- 氏は事業システムを
「商品やサービス開発のための要素技術、
生産の仕組みや技術、
販売と流通の仕組み、
組織、働く人びとの意識、
顧客の間へのイメージや信用の蓄積
などをベースとした事業の仕組み」
と定義している。
- ビジネス・モデルの分析を行う場合には
- 供給連鎖における役割分担の設計
- 役割分担を行った主体間の物及び情報のやり取り(流れ)の形態の設計
を記述することが有益(例えば、卸売業の商物分離≒物流業へのアウトソーシング)。
ビジネス・モデルと情報技術の関係 †
- 情報システムが事業システムの一部分(つまり下位システム)として、
他の下位システム(つまり情報システム)と相互作用をしながら共進化していく。
ビジネス・モデルと情報技術の相互作用 †
- ビジネス・モデルの設計は
システム設計上のボトルネックによって決定される
- 技術開発はそのボトルネックを取り払う。
(技術はその時々において、
何が不可能であるか、限界であるかを
規定する「制約条件」として考える方が、
技術の可能性を考える上でも有効)
- いったんボトルネックが取り払われても、
- 新しいビジネス・モデルが生まれる。
- 既存のビジネス・モデルのパフォーマンスが改善する。
ビジネス・モデル移行に対する抵抗 †
- 抵抗の例
- 生産性のジレンマ
- 過去の成功体験
- 組織や販売チャネルの抵抗
- 具体例
- 前世代のHDDのリーダーが次世代の対応に出遅れる検討(Christensen(1997))
- 物理的な店舗を持つ企業がインターネット販売をする場合
産業横断的なオープン・アーキテクチャ戦略 †
垂直統合からオープン・アーキテクチャ †
- 垂直統合では、
- 顧客第一をうたいながら、
- 往々にして生産者側の「販売代理」を行い、
- 商品の買い手を開拓してきた。
垂直統合における各種役割 †
- 販売代理店
- 特徴
- 安定的に製品の販売を行うことには向いている。
- 売上を保証するために扱う製品の幅を広げなければいけなくなる傾向を持つ。
- 昨今、特定メーカーの商品だけの品揃えではチャネルとしての競争力を失う。
- 例
- 直営店(ディーラー)
- 販売店(サブディーラー)
- 代理店
- メーカー
- 販売チャネルに対する支配力-囲い込みをベースとする。
- 当該、販売チャネルで、製品の幅を広げていく必要がある。
- 結果、プロダクトのコンセプトが次第に不明確になっていく問題。
- コンセプトの不明確な商品をチャネルの力で押しことが難しくなってきている。
オープン・アーキテクチャにおける各種役割 †
- 川下で重要な役割を演じる
顧客のニーズに合わせて商品を探す業者。
- 複数の商品を結合させてトータルなものとして提供する。
- 構成要素全てを提供できる商品提供会社は想定し難く、
- 必然的にいろいろな会社のサービスを購入し
- 組み合わせて顧客に提供することとなる。
- 当然、購買代理業者は特定メーカーの傘下には入らない。
- 購買代理業者が強くなってくる背景
- モノが豊富になって顧客に選択の余地が生まれたことに加えて、
- 情報化によって顧客に情報がふんだんに伝わるようになって、
生産者からの単純なプロモーションにはのらないようになってきたため。
- 金融業でも投資信託商品で同じような現象が起きている。
- 要素提供者
- 従来「メーカー」と総称してきたような生産者の1部分
- 特定の分野に経営資源を集中投入し、その分野において
高いマーケットシェアを狙う技術指向の強い部品メーカー
- パッケージャ
- 従来「メーカー」と総称してきたような生産者の1部分
- パッケージャは明確な商品コンセプトをもとに
要素提供者の提供する技術を統合する役割を担う。
- 自動車業界、総合電機メーカー等は、パッケージャとしての機能を持っていた。
- 購買代理業者は、プロダクト開発というよりソリューション開発を行う。
- パッケージャは、ソリューション開発というよりプロダクト開発を行う。
- 商品コンセプト実現、メッセージ性の付加のために
- 特定の要素提供者と戦略提携などを結びながら、
- 設計思想などの形成に積極的な役割を演じる。
強みと弱み †
強み †
弱み †
事例 †
産業側 †
- 得意領域に経営資源を集中し、
- それ以外については提携など
消費者 †
- ネットワーク化が進むにつれて、
オープン・アークテクチャ戦略の価値創造の輪に入る主体が
産業側にいる企業だけでなく、消費者にまで広がってきた。
(海外では。日本で言うと価格ドットコム)
参考 †